お手軽なネットクチコミ、ペイパーポストに効果はあるのか
「例えば、ペイパーポストは詐欺罪にはならないし、公正取引委員会も出てこない。これは今のところ、現行法をすべてクリアしているネットマーケティングの一手法なわけです。繰り返しになりますが、ぼくは大嫌いですけどね」
「そういう意味ではネットのクチコミって効いていると思いますし、20年後でもずっと効く気がするんですよ。それこそこれだけマルチ商法が騒がれたりしていても、いまだに『円天※』にダマされてしまう人がいるわけですからね。これだけ騒がれていても、5年後にもきっとまた別の詐欺が出てきて多くの人がダマされてしまうと思います。いつでも懲りない人たちはいるので、だからクチコミマーケティング市場というものもずっと残るんじゃないかと思いますよ。私も認めたくはないのですが。ペイパーポストを利用して、ひと記事いくらでブログを収入源にする人はゼロにならないでしょうし、そんな記事にダマされてしまう人もゼロにならないでしょうね」
「そうですね。とても悲しい話ですけどね。そういう話をする人があまりいないんですよ。ぼくは理想論を話していてもしょうがないと思っていて、もちろん自分の理想を話すことは話しますけど、アカレンさんの指摘どおり、ペイパーポストには一定の効果があるのも事実です。企業が記事をお金で買うリスクも大きいんですけどね。結局、それは道徳的なものではブレーキがかからないと思います。その結果、大事な顧客を失いますよとか、最終的にブランドが崩壊しますよという話ならブレーキがかかるかもしれないけれど、『これってやっちゃいけないことですよね』って言うだけでは何も変わらないんじゃないでしょうか。毎年のようにネットの初心者ユーザーが増えているわけだから、毎年のようにふらふらダマされる人も出てくるでしょう。だからこのペイパーポストに代表されるクチコミマーケティング市場も今のままなら消えないで続いていくんだろうなと見ています。短期的にはダマして儲けられるかもしれないし、とくに投資対効果で考えたときに百円で記事を書かせて、それを信じて商品を買う人たちがいるわけですから。ただ、本当にそれで五年後十年後も安泰なのか、ということは言っておいてあげなきゃいけないかなと」
「広告営業の現場では、とりあえずネットでクチコミを起こしたいという企業からの発注はあります。代理店の営業は、その施策の結果に対しての責任感はほとんどありませんから、とくに抵抗もなくペイパーポストも提案しています。広告主も望まれていますし。もちろんうまくいかないことのほうが多いと思いますが」
「ペイパーポストは2006年くらいから登場しました。ぼくもいくつかの会社の営業に会ったのですが、来る人来る人SEOの話を一生懸命するんです。ある保険会社がこの結果グーグルの検索結果で1ページに出るようになりましたとか、不動産会社の検索順位が上がりましたとか、一生懸命説明するんですよ。要するにバックリンク販売※です。実際の代理店の現場では、こういう売り方が当たり前で、それを言わないと売れないんですか?」
「そうですね。現場ではそういう売り方をしていますね」
「他のセールスポイントはないんですか」
「ペイパーポストに関しては他のメリットをアピールすることはなさそうです。ブログでマーケティングすること自体のセールスポイントを言うと、イベントと連動させるケースはあります。トラックバックキャンペーン※のようにイベントに参加してくれた人たちのブログ一覧を用意するとか、公式ブログの運営を提案することもありますね」
「イベントに参加した人がブログに書く書かないというのはその人の勝手なのですが、書いたものをトラックバックなりリンク集なりで企業側が一覧にしてあげるわけですね。それによって企業にはどんないいことがあるんでしょうか?」
「考えられるのは賑わい感の演出というものがあるのではないでしょうか。これだけ私たちのイベントには人が集まっているんですよ、という賑わい感の演出です。もうひとつは、誰かがイベントの情報を集めるときに、その情報がまとめてあるといいですよね、ということです。あとはSEOやリスティング広告的なもので、記事をたくさん集めておけば検索結果にプラスに働くということでしょうね」
「そのどれでも良いんですが、その結果、企業の売上に貢献できるかどうかがポイントですよね。ブログの記事をまとめるということが、実際にどのくらい売上に貢献するのか。比較論だったらまとめてあったほうがいいとは思いますけど、そのためにお金がかかっているわけですよね。まとめないことを選択すればお金はかからない。かけたコストに見合った売上貢献なのかということは評価されているんですか?」
「サンプリングにしろイベントにしろ、そういうことをきちんと調べている企業は少ないと思います」
「え! だとすれば、どうしてやっているんでしょう」
「そもそもイベントなどに呼ぶブロガーの方々に価値を感じているんだと思います」
「それは違うんじゃないですか。はっきり言っちゃいましょうよ。広告主っていうのはあんまり考えずに発注していますよね。もっと言うと、代理店にダマされてます。広告主側の仕事の大半は予算を取ってくることになっていて、予算を一億円取ってきたからあとはよろしくねと、代理店に丸投げするようになっているのが問題なんじゃないですか」
「実際はパッケージになっているんですよ。イベントもキャンペーンサイトもセットで売っているので、そこだけいらないということができないんです」
「なるほど。そういったパッケージを買っても、トラックバックキャンペーンだけいらないとか言っちゃえばいいのに。広告主から特定の項目はいらないと言われたことはありますか?」
「うちはあります」
「全体を10とするとどれくらいです?」
「1ですね」
「残りの9は提案されるままに丸ごと買うんですね。なんともひどい話ですね」
「クライアント側はクチコミマーケティングの相場観がわからないので、言い値な感じはありますね。最初に予算を教えてもらい、それを使い切るように予算を割り振ります。一千万円取ったので一千万円を使って担当者が上司にいい報告ができるようなプランを提案しています」
「まさに予算を取ってくるまでが企業のマーケティング担当者の仕事で、そのあとは丸投げということですね。広告主がもっと積極的にプランニングに関わっていけばいいのに、なかなかできていませんね」
(まだ続きます)
株式会社プレックスから発売されているフィギアを利用させていただきました。
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