ここに1冊の本があります。アイルランドにあるスーパーの社長が書いた本で、著者はファーガル・クインといいます。
昔、まだビーケーワンにいた頃に読んでたのですがすっかり忘れてて、10月くらいに青木さんに「河野さん、この本いいですよー」と紹介されて、話を聞いてるとどうも既視感があったので翌々考えてみたらハードカバーで読んでたと。
その頃の青木さんのブログがこれ。
ちなみにぼくが読んだハードカバー版はもう絶版になっていて、ポケット版として出ています。しかしこういう良書が簡単に絶版になるというのは残念だけど、新書で復刊されるのはいいですね。そういう意味では『パーミッション・マーケティング』のように絶版になった良書を新訳として復刊してる海と月社も素晴らしい出版社です(でも『パーミション・マーケティング』でさえ絶版になるというのは根本的になにかがおかしいよね)。
ぼくは最近、「名ばかり顧客志向』の企業が多いなあと感じているんですけど、そもそも顧客志向を謳わなければならない(そうじゃないとダメな会社だと思われる)という風潮はどうかと思うんです。「客を財布にしか見てないよ」って企業があってもいいわけですし、じっさいサービスなんて求めてないから1円でも安くしろというニーズもありますしね。
また顧客志向の理念だけを掲げて、ROIもKPIも無視してとにかくはじめるべきだという意見にも賛同しかねるんですよね。お客さんのいうことをすべて聞いてたら会社はつぶれますから。
この手の論調が強まったのはたぶんアドボカシー・マーケティングがいわれはじめたくらいからだと思うんですけど、最近ザッポスの事例などを引用してさらに語気が強まってますね。だけどザッポスもめちゃくちゃ効果や効率については考えてますし、アドボカシー・マーケティングってめちゃくちゃ計算してるんですよね。ただそれが消費者からむしりとろうとする悪意だらけの計算ではなくて、相性があって理解しあえる消費者と企業とは末長く付き合えるし、お互いハッピーになれるという視点での計算というだけです。
で、本書の著者であるファーガル・クインは「ROIがはかれない事案を判断するのがリーダーの仕事」だと主張しています。
そもそもブランディングにまつわる施策ってだいたいそうなんですけどね。カスタマーサポートだってそうだし、アクティブサポートのようなソーシャルメディアでの対話だって「きっと中長期的には貢献するだろうけど、根拠のある数字でそれを証明するのはむずかしい」という話ですよね。でも、だからこそ、やるかどうかの判断は経営者が自らの直感を頼りにすべきだということをファーガル・クインはいってて、ぼくも同感です。というかぜんぶわかってるなら小学生でも判断できるわけだしね。
そういう理念とか姿勢についての話だけじゃなくて、具体的な話もいっぱい書いてあります。
この本を読めば、顧客志向の理解と実行のあいだにある高い壁について、それを乗り越えるヒントが手に入ると思います。
多少でも参考になればと思ってレビューを書きました。
とにかくこの本はいいです。
「顧客志向」や「カスタマーサービス」について日々考えてる方は読んでも損はないはずです。もし読んで「つまらない」と思ったら、少なくともサービスについて考える仕事には向いてないと思います。











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