ぼくが顧問しているクラシコムという北欧雑貨のお店でやってるブログのコメント欄をなくしました。詳しくは以下の記事にて社長の青木さんが書いてます。
で、ここではその補足というよりはここ数年ぼくが考えてきたことを書いておこうと思います。
まず、企業がブログを導入することの意義にはいろいろあります。そもそもぼくが2004年にビーケーワンでブログを採用したのは、自動販売機としてのECではAmazonに勝てっこないので「そこで働く人の顔」を見せることで(とくに値段が変わらない本という商材だからこそ)売り子やお店の魅力が選択理由になればいいなと思ったからです。
興味のある人には全員アカウントを発行したので、副次的な効果としてスタッフの隠れた才能が発揮されたりして、お客さんと同じ世界でコミュニケーションする手応えも感じました。
(いま見たら終わっててびっくりしたけど)
ま、そういう実感があったので、他の会社もどんどん従業員に書いてもらって、社長でも広報でもない人たちが普段の言葉で発信すれば、企業の伝えたいイメージと、ぼくら消費者が受け取るメッセージのギャップが小さくなるんじゃないかと思ったんですね。それが転職先にシックス・アパートを選ぶおおきな理由のひとつになったんですけど、Web2.0ブームのおかげで企業ブログそのものの普及はすごいスピードで進みました。
その頃からはプレスリリースなどを発信するCMSとしての魅力も訴えてましたね。いちいちウェブの部署や制作会社に依頼してたら遅いでしょって。
ただやっぱり原点は「等身大のコミュニケーション」というところにありました。
コミュニケーションというからには双方向でなきゃいけないのですが、発信はもちろんブログなんですけど、じゃあ受信というのはコメント欄しかないのか、あるいはコメント欄がベストなのかということはいつも考えていました。
これは自発的というよりは「炎上がコワい」という意見がとても多かったので(いまでもそうだけど)考えざるを得なかったというのが正直なところですね。
いろんな人が「コメント欄は必須」というスタンスで話をすればするほど、ほんとにそうなのかなあと思うんですね。ぼくは少しずつでも良くなればいいやと思うので、炎上がコワいからブログをやらないよりは、コメント欄は閉じててもいいからまずは発信だけでもやればいいんじゃないのかなと。
コメント欄を設けるメリットとデメリットをちゃんと天秤にかけるべきだろうと思ってきました。だから聞かれたらいつも「コメント欄はあったほうがいいとは思うけど、それがブログをやるかやらないかの判断材料にはならない」と答えてきました。
なのでぼくが導入をお手伝いしたブログにはコメント欄がないのもけっこうあります。
コミュニケーションというのはブログだけで完結するものではないので、もっと全体的にテレビCMからコールセンターまで包括して考えなきゃいけません。だからどうすれば「もっと正しく伝わるか」と考えると同時に、どうすれば「もっとお客さんの生の声が聞けるか」を考える必要があって、たとえばブログの感想がツイッター経由で届くというのもひとつの解だと思うのです。
ようはお客さんに負担がかからない範囲で、うまいこと帳尻を合わせればいいのであって、全体最適になっていれば十分。
よく例として紹介するんですけど、ぼくが意識したのは「ほぼ日」でした。
「ほぼ日」にはコメント欄がありません。でも読者とのコミュニケーションは成立しているように感じるし、しっかりとしたコミュニティがあそこにはあります。コメント欄は必須じゃないことに自信を持てたのは「ほぼ日」の存在は大きいです。
じゃあ「ほぼ日」は受信してないのかというとそんなことはなくて、すべての記事の下には「感想を送る」というボタンがあって、postmanという宛先にメールを送ることができるようになっています。ぼくも何度か送ったことがあります。つまり一方通行ではないし、閉じてない。積極的かはともかくとして、読者とコミュニケーションを取ろうとする姿勢を、デザインとして見せている。
そもそも公開されて他の人にも読まれちゃうからコメント欄には書けないという人もいるわけで、コメント欄があればみんなの意見が拾えるかというのも疑わなきゃいけないしね。
そして読者から届いたメールは糸井さんが「今日のダーリン」やツイッターなどでちゃんと取り上げて反応してて、まるでラジオのDJとリスナーのような時間軸(リアルタイムではない)でコミュニケーションが成立している(し、させようとしている)。
じゃあ何を基準に企業ブログのコメント欄をつけたりはずしたりすればいいんだろう。
その答えが最近ようやくわかってきた感じです。ツイッターという似て非なるコミュニケーションツールが出てきて、ここにはコメント欄がないけれど、でもコメント(リプライ)そのものは拒否できない。機能としてブロックはできるんだけど、企業アカウントではやりづらいからね。そういう特徴を前提にしたときにどうすればトラブルの回避率が上がるかを本を書きながらめちゃくちゃ考えたことが大きかったかな。
あと、もうひとつが冒頭のクラシコムの現状を見て考えたことです。企業ブログをやってる人たちの多くは「厳しいご意見」に対してはけっこう寛容で、むしろありがたいと思ってます。それなりに必死に考えてるんだけど、社内だけで考えてるとどうしても狭視野で独善的になりがちなので、お客さんにダメ出ししてもらう機会はとても貴重です。
(まあコールセンターを軽視するような企業は歓迎しないかもしれないけど)
それでもコメント欄を閉じる必要があるとすれば、それは本来の目的である「発信」に悪影響が出たときでしょうね。
コメントが怖くて書けないとか、そこまでいかなくてもいろんな反論へのエクスキューズを散りばめすぎて何がいいたいのかわからない冗長な文章になってしまうと、企業のメッセージをわかりやすく伝えるという目的に反してますからね。
経営でも人生でも、絶対の正解というのは意外と少なくて、だいたいはどっちがいいって話じゃないし、その人の状況や環境によって(もちろん主義や思想も含めて)選ばれるだけです。
だから異なる意見、異なる選択をする人たちはいつだって一定数いるわけです。そういう人たちには「配慮はするけど遠慮はしない」というのが理想的なスタンスなんだけど、ビビって足元がふらついちゃうようになったらコメント欄の閉鎖も考えたほうがいいのかもしれない。
もちろん閉鎖するだけではダメで、代替の受信手段も用意しなきゃいけないし、仮にそれがメールだとしたら直接執筆者に届いちゃうと同じことなので、間に入ってソフトに伝える人を介在させるとか、体制も見なおさなきゃいけない。
コミュニケーション手段はブログ「だけ」じゃないし、受信するにもコメント欄「だけ」ではないので、どうすれば目的達成のためにベストなのかを、それぞれの企業の置かれた状況を踏まえて考えなきゃいけないんですよね。
とまあぼくの意見はこんな感じなんですけど、ぜひあなたの考えを聞かせてください。いろんな意見があるだろうと思いますし、ちがう意見も聞けるのがネットのいいところですしね。
(あんまり真逆の意見ばかりだと疲れちゃうんですけどね)
さらっと書くつもりがえらく長文になっちゃいました。てへっ。
[追記20111009]
みなさんの回答はまとめて後日公開しますね。
[追記20111018]
公開しました。











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