まあよくわかんないですね。発言者によって微妙にズレてるし、またその人たちが勉強不足で普通の(ソーシャル以前?)のコマースについて詳しくないものだから、前からあるようなことまで「注目です!」みたいに言っちゃうし。
具体的には「共同購入」ですよね。昔からネットを使ってる人ならもちろん知ってるでしょうけど、ネットプライスがギャザリング(共同購入)を開始したのは2000年です。まあグルーポン系は大半の取扱商品が商品ではなくクーポンなので、決済タイミングは同じでも品物の受け取りと権利行使については時差があるし、未行使率なども踏まえればクーポン販売のほうがビジネスとしてキャッシュフローがよくなるとか、結果的に利幅がいいとかはあるんですけど、モデルとしては同じです。
大半のECに携わってる人ならぼくと同じことをいうと思うけど、ECってもともとソーシャルなんですよ。レビューもあるし、ランキングだって「みんな」の購入データを元に算出してるし(一部例外があるけど)、レコメンドなんかも協調フィルタリングという仕組みは「みんな」が注文した商品がベースになっている。
よりソーシャル色が強まっているとすれば、漠とした「みんな」ではなく「誰が」を可視化するようになってきたということですよね。
「この商品はみんなが買ってるよ」ではなく「河野が買ってる」とか、「あなたの友だちのうち5人が買ってる」というように、自分のソーシャルグラフと照らし合わせて、誰が買っているのか、誰がほしがっているのかを画面上に表示するようになるというのが、おそらくソーシャルコマースのキモなんでしょうね。
そのためには柔軟な情報開示のコントロールが必須で、だからこそFacebookとの連携が注目されてるんでしょう。
糸井さんが広告の世界から足を洗うことを決めた『売れています』が最強のコピーになったという話になぞらえれば、さらに強い『あなたの友だちに売れてます』というコピーがECなら可能だってことです。
もっともぼくはここに未来はないと思っていて、誰もが自分の購入した商品を開示したいわけじゃない。そもそもECの利用理由のひとつは「店頭で買うのは恥ずかしい商品を買うため」であって、たとえばそれはエロDVDかもしれないし、自己啓発書かもしれないし、増毛剤かもしれないけど、とにかく買ったことを知られたくない商品が一定割合を占めるんです。
もちろんそれだけを除外することは技術的にはできるけど、じゃあその判断と作業はユーザーが自分でやらなきゃいけないわけで、全公開にして特定商品を非公開にするにせよ、逆に特定商品だけを公開するにせよ、そのめんどくさいことをわざわざやるとは思えない。
じっさいBlippyは終わっちゃいましたしね。Blippyとグルーポンをソーシャルコマースといってる人もけっこういたけれど。
そりゃそうだよ。絶賛してた人たちはどうかしてるぜ。》シリコンバレーの寵児, 買い物共有サービスBlippyがついに姿を消した: http://bit.ly/mm9mzl
そもそも自分の買物履歴をみんなに公開したいなんていう変態がそうそういるわけないじゃんか。そりゃ少数はいると思うのでその人のために趣味でやってるぶんはいいけど(ぼくがやってるclipmailなんかもごく少数の変態向けサービスだと思ってる)、Blippyに未来を感じちゃった人はちょっとヤバい。
せいぜい購入完了画面にツイッターで「ニンテンドー3DS、買ったなう」ってツイートさせるくらいで、たしかにこうした個人の別の活動とひもづけるのはソーシャルメディアに参加する人数が増えたので、売上への影響が高まってるのは事実だけど、ブログでアフィリエイトするのと変わらないのです。
というようなことはずっと考えていて、先日もこんなことを書いてました。
ソーシャルコマースってのはとどのつまり「レビュー」「レコメンド(アフィリエイト含む)」「共同購入」「ウィッシュリスト」「おねだり」あたりか。
このうち「ウィッシュリスト」と「おねだり」だけがユーザー間の関係性に強く依存していて、たとえば「引っ越し祝いにここから買ってよ」とか「今度の誕生日にこれ買って」みたいなやり取りはいまでも、そしてこれからも成立すると思います。
ただしそのやり取りは基本メールで行われるでしょうね。もちろんFacebookのメッセージもその代替手段として使われるだろうけど。
Amazonがウィッシュリストを拡張していて、Amazon以外の店の商品も登録できるようにしてるけど、ああいうのは正しいアプローチだと思うな。
いちばん上のはクラシコム(北欧、暮らしの道具店)の商品です。
さすがにツイッターやFacebookで共有するボタンをくっつけるだけで「ソーシャルコマース」だなんていう人はいないと思うけど、でもそんなもんでしかないんじゃないかなあ。
ECにせよ、サポート(CRMとか)にせよ、ろくに経験も勉強もしてない人たちが「っぽい」ことを話してて、それはひどいと思うんですよね。
[追記]
ちなみにレコメンドの基礎データにはいろいろあって、ぼくが実証実験に付き合ったのではアクセスログ(行動履歴)を元にしたものもあった。その商品を見た、買った、レビュー書いたなどの行動に重み付けをして、単純な購買履歴のみの協調フィルタリングよりも精度の高い情報が出せるんじゃないかという話だったけど、じっさいは2chにリンクされたとかそういう突発的なアクセス増が思いっきりノイズになるので実用的ではなかったね。
もっとも協調フィルタリングは新発売の商品(=誰も買ってない)とレコメンドできないという問題があるのは事実で、このへんをカバーする仕組みが求められてたんだよね。現実的にはここは作者やカテゴリーなどを使ったルールベースがベターでしょうけれど。













コメント(2件)[コメントだけのRSS]
>さすがにツイッターやFacebookで共有するボタンをくっつけるだけで「ソーシャルコマース」だなんていう人はいないと思うけど
こういう人たちが大半な気がするのですが‥
>ECにせよ、サポート(CRMとか)にせよ、ろくに経験も勉強もしてない人たちが「っぽい」ことを話してて、それはひどいと思うんですよね。
例えばそういう人たちがECに対して営業に来ても、全く話が通じないことが多いですよね。でも彼らが話が通じるだけの経験や勉強をしていると、とてもじゃないけど営業できる気がしないんじゃないかと考えたりします。
投稿者: yamashita | 2011年5月26日 02:28
yamashitaさん、コメントありがとうございます。
「ソーシャルコマース」ってたぶん定義しはじめると困っちゃうと思うんですよね。ほぼただのイーコマースなので。
ヒトゴトながら大変だなあと思います。
投稿者: 河野
|
2011年5月26日 07:26