今日はヒデ(mixbeatの2期生)にお願いして、広告に関するテクノロジー周辺の勉強会を開いてもらった。
ネット広告を考えたときに、これから数年は「自動最適化」がより一層進むと思っていて、そのためにとくにUSのトレンド含めて、どういうプレーヤーがいて、それぞれどんなことをやってるのかをざっくり理解しておきたいと思ったので気軽にお願いしたら気軽に引き受けてくれて、どうせなら他の人も呼んだらってことで塾生に声をかけて4名が参加した。こんな低い出席率ならぼくが手伝ってる会社の人たちを呼べば良かったなあとちょっと後悔。
知ってる話ももちろんあったけど、そのへんの実態の確認も含めてとても参考になった。ほんとにありがとう。
こんな感じでうちの壁に投影してやりました。
ネット広告がテレビ広告などと決定的にちがうのは、いわゆる「広告枠」が無限にあるということに尽きる。つまり需要と供給のバランスが狂ったまま戻らないので、適正価格に落ち着くことはなくてどんどん価格が下がり続ける。
(まあテレビCMの価格が適正かって話はあるんだけど、ネットに比べるとバランスは取れてると思う)
で、広告主の増加に比べて、媒体(メディアと掲載枠)の増加ペースのほうが早いので、その不均衡はどんどんひどくなって、広告主側の要求が通りやすくなる。
その結果がネットの広告の歴史そのもので、期間保証からインプレッション保証、そしてクリック保証になって成果保証に進む流れは、金を払う側からすれば当然の論理で、この前提条件はこれからの変わらない。
とはいえ(将来はともかく)現状はすべての出稿が成果保証で契約できるわけもないので、広告主はクリック保証やインプレッション保証で出稿している広告について最適化を考えている。そのためのツールが用意されつつあるというのがいまの流れ。
リスティング広告の管理ツールもどんどん進化しているし、アドネットワークやアドエクスチェンジのような純広告枠についても自動最適化するサービスが出てきている。さらに視聴者ベースでのターゲティングを加味することもデータプロバイダーなどの登場で可能になりつつある。
非常にざっくりした話だけど、技術的にやれることはほぼほぼやり尽くされてきていて(あ、USではね)サーバーやCPUなどのコストが安くなってきたことも追い風になって、高速かつ大量かつ複雑な計算が必要なものでも対応できるようになってきている。
個人的にこのへんは昔から興味があるし、ずっと広告主側で仕事してきてたのもあって、とにかく代理店や媒体の出す資料が信用できないし、レポートもどこまで本当かわからないので、広告主側で集まって情報共有できる場がほしいと思ってたくらいなんだけど、そういう解決方法もありつつ、いっそのこと自社でアドサーバーも持ってしまってレポートを自分で作ってしまうのがいちばん賢いのかもしれないと思った。もちろんサイト内のアクセス解析とも連携して。
システムとしてはやや大がかりになるので簡単に導入できないかもしれないけど、このへんをまるっと整理してワンストップで提供するサービスをGoogleあたりはやってくるだろうし、そんときにデフォルトの出稿先リストにAdWordsを入れとけば無料で提供してもやれちゃうなあとか考えると、それはそれで怖い世界だなとちょっと思った。
あとはまあテクノロジー優先で進んでしまうと、プライバシー問題などが当然起こってくるので(いま総務省のほうではおかしな流れになってるようだけど)このへんのガイドラインや法整備は必須だと思う。
それをやらないとFirefoxとかがCookieを拒否するようにネット上の有志たちがアドサーバー系のドメインを収拾してブラックリストとか作っちゃうだろうし、Mozilla的にはユーザーのプライバシーを守る立場だろうから、そういうアドオンをデフォルトでバンドルしたりするかもしれない。ここまで最悪のケースにはならないと思うけど。
「最適化」ってのはまちがいなく今後のキーワードなんだけど、ただこの「最適化」ってのはくせ者で、広告主にとっての「最適化」は、必ずしも媒体社や代理店にとって歓迎すべき話ではないんだよね。
ムダ撃ちが減るってことなので、そのムダ(も含めたトータルのボリュームありき)で食ってる人たちにすれば、売上が激減することになる。とくにリスティング広告なんかは壊滅的になりかねない。
一方でこれもよく言われることだけど、自動最適化が進んでいくと間接的な効果は計れないし、店頭での購入なども追えないわけだから、直接的なコンバージョン(購入とか申込みとか)だけが優先されるし、どんどん出せる枠が減っていく。
広告予算が節約されるのはいいことだけど、利益まで落としてたら意味がないわけで、このへんのポストインプレッションなども含めての「本当の最適化」を作っていくにはまだまだ時間がかかりそう。
ここはいまの日本の広告代理店では作れないと思う。だって売れたかどうかまでコミットしてないし、興味すら持ってないもの。だからここを作れるとしたら広告主がどこかの技術系ベンチャーに発注して自社開発するしかないと思う。このへんはきっとおもしろいと思うんだよね。
まあこれもよく聞く話だけど「広告費の半分はムダやとわかっとるんやけど、どっちの半分がムダなのかがようわからへんねん」(ジョン・ワナメーカー/John Wanamaker)という点で言えば、半分とは言わないまでも2~3割は確実に特定できるようになってきてると思う。
これをさらに高めていって、浮いた予算をコミュニケーション全般にまわしてほしいんですよね。自社メディアを作るでもいいし、ソーシャルメディア上でユーザーとやり取りするための予算でもいいし。
ぼくが昔からここに興味があるのは、広告費のムダを削るだけじゃなくて、それを生きたお金として再投資したいからで、もっと言うと既存顧客のための予算をきちんと確保してマーケティングを展開すべきだと思ってるからなんです。
たとえばユーザーターゲティングを使って、バナー広告はいっさい既存顧客には見せなくてもいいから、そこで浮かせた予算を使って、彼らがもっと訪問してくれるような機能を開発したり、情報を提供したりすべきだと思っています。だってそのへんのサイトに出稿するよりも、デマチメールとか作ったほうがよっぽど売上に貢献するわけで、ROIのチェック対象をシステムも含めた全体に広げていけば、いちばん効果的な投資先が見えてくるはず。まあこのへんは組織と予算割の問題になってくるんだけど。
ともあれヒデのおかげでいい整理ができました。ありがとう。
いま再建中のマーケティングis.jpではこのへんの勉強会とか開催してもいいかもしれないなあ。興味のある人は多そうだし。
[追記20100809]
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