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ボーダーレス時代の出版について

電子出版ってのは「出版」の再定義というよりも、原点回帰とか本質論の整理が問われていると思っています。で、そういう観点で意見を言う人が少ないのは「紙」とか「ネット」の呪縛から逃れられてない人が多いことの裏返しなんですよね。
(このへんは広告やマーケティングの世界となんら変わらない)

このスライドはおもしろかった。

ここでも出てくるように会員誌やメルマガだって「出版」の枠に入ってくるし、以下の指摘はぼくも完全同意だな。広告と広報の境界線がなくなっているという指摘は過去にもしてるけど。

先を読むことなんて、ほとほと出来ないものですが、一つだけ私が確信していることがあります。

スライドの43Pに書きましたが
「全てがボーダーレスになっていく」
ということです。

-媒体社/広告代理店/広告主の境界線
-雑誌アプリとウェブサイトの境界線
-広告と広報の境界線
-プロとアマとの境界線

こういった境界線が徐々にですが確実に消えていきます。

さらに言えばここ数年のソーシャルメディアの普及によって、ぼくはいよいよ「ネットとリアルの境界線」もなくなってきていると感じています。
つまりネットが特別な人しか使わなかった時代から、大半の人が使うようになり、さらにケータイの普及によって24時間365日アクセスするようになって、リアルな生活とネットの活動がすでに融合してきてるんですよね。たぶん一部の人はなんの違和感もなく、ごはん食べながら友だちにメールしたり、電車に乗りながらツイートしてるわけで、それはもはやネットとリアルの使い分けてるんじゃなく、不可分なものになってきている。

そういう話を「ソーシャルメディアマーケティングのトリセツ」として書こうかなと思ってます。思ってるだけだと一生書かないんだけど。

まあそんな本なり電子書籍なりが「出版」されるかはともかく、もうちょっとフラットな視点で見ていきたいものですね。楽しい時代なのはまちがいないので。

で、以下は余談なんだけど。

出版というもののひとつの側面は「コピー」ですよね。だからグーテンベルクの活版印刷がひとつのパラダイムシフトであったわけで、DTPが次のパラダイムシフトで、さらにいま起こってるのがネットの一般化(通信回線とネット端末の普及)によるパラダイムシフトですね。
これらのパラダイムシフトのたびに、あるコンテンツをコピーすることが、より安く・より簡単に・より早くできるようになっていて、結果として、より大量に・よりたくさんのコンテンツが世に流通することになる。

ECやってるとわかるんだけど、書籍ほど小ロット多品種の商材もなかなかない。年間8万点もの書籍が出版されてるのに、大半の商品は数千点しか発行されない。そもそも全国の書店には行き渡らないし、積もり積もって商品マスタは100万点を超えるようになってしまっている。

これが何を意味しているかというと、ミスマッチがそこかしこに生まれているということなんです。出版量が多すぎてそんな本が出てることすら気付かないとか、買いたいのに近所の本屋には置いてないとか、機会損失が毎日のように全国各地で起こっている。
これをITのチカラで解決することをいまみんなで考えなきゃいけないんだけど、出版社は読者をまったく把握できてないし、業界としても共有できてないから、一部の人気作家を除き、99%の本は常にゼロからマーケティングをすることになる。
(まあ新規に依存してビジネスをやってるのは出版業界だけじゃないんだけどね)

じつにもったいない。

で、そうこうしてると著者が自分でやっちゃうわけです。本を出すのも、読者をリスト化して続編が出た際にコストをかけずに販売することも(あるいは先行予約を受け付けてから執筆することもできる)。

まあこのへんは同人誌の延長なので、いまさらどうこうって話ではないんです。ただ加速はしますよね、まちがいなく。
質に幅が出るけど、ロングテールのしっぽがさらに伸びることになります。駅前で詩集を売ってる人が、オンラインで販売した途端に50人くらいには受け止めてもらえるかもしれない。
本来そういうマッチングの機会創出・可能性拡大がネットのいいところなんですよね。

まさに田端さんが指摘されてる通り「プロとアマとの境界線」がどんどんなくなっていくわけです。でも境界線はなくなるけど、グラデーションとしては残るんですよね。
だからこそプロ側に属する従来の出版人はコピーする価値のあるものをどんどん発掘してくることが求められるわけだけど、タレント本とか出してる時点で終わってるなあと思っちゃいますね。

iPadなんてどうでもいいんだけど(読みにくいし)、おもしろいコンテンツを引っ張り出してきて、それをすべての手段で読めるようにしてくれればいいんだよね。
そういう意味では端末にこだわらないKindleの戦略は非常に興味深いです。ベゾスはすごいよねって話で終わるのは残念なんだけど。

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