恐怖や不安は人を動かす、というような話がちょっと前の『エンゼルバンク』に書いてあったけど(正確には「不安を煽れば人を支配しやすい」とかそんな文脈)、まあ悪徳商法に限らず、コンプレックス系の商売とかってそんなところがありますね。
ネット代理店――代理店に限った話じゃないな、まあうさんくさい連中――にも同じことが言えて、かつては「Second Life」、いまは「Twitter」がトレンドワード。いわく「いま参入しないと致命的な遅れになる」とか「消費者が繋がったいま、そこに参加する企業と参加しない企業で生き残るのはどっちだと思いますか」とかとにかく煽る煽る。
言ってることが間違ってるわけではないんだけど、なんか違和感があるんだよね。まあ言ってる連中がべつに提案先企業の顧客のことなんて考えてないし(だからどこの会社にも同じ提案しかしてない)、必死にテレアポしてくる(ひどいときにはTwitterのDMで営業してくる)連中に煽られて、行動することほどバカバカしいことはない。
期限を決めなければほとんどの予測は当たるわけで、それこそこれを読んでるあなたは必ず死にますよ、と言えば予言的中なんですよ。100年もすればほぼ的中してる。そんときはぼくもいないだろうけどね。
トレンドを追うことは大事だし、知識として学ぶことも将来に向けて準備することも大事だけど、必要じゃないならやらないほうがいい。続かないし、失敗するから。
ちょうどいいので途中まで書いてた話に繋げちゃうけど、先々週に書いた記事の反響を見ていて思ったこと。
記事はこれね。
まずいまだに反響があるのはうれしいことなのですが、少し反論めいたコメントもあるんですよね。それ自体は健全なことだと思いつつ(100%賛同なんて異常だし)、でもその指摘内容がどうもピンボケしてるというか、わかってないんだよね。難しいことを書いてるわけじゃないので、そのまま読んでくれたらいいんだけど。
要は
- 社長がTwitterをやること自体はどっちかといえばいいことだと思う
- 社長自ら顧客の要望を聞き、それに反応するのもいいこと
- でも企業にはすでに顧客の要望を聞くチャネルを持っていて、そこでは個々の意見に惑わされずに全体を見るように注意している
- その上で企業として変えるべき点と変えない点を常に精査している
- 大企業になればなるほど(あるいは企業の階層が増えれば増えるほど)個別の案件に関して、社長が逐一把握することは少ない
- だからそういうことを無視して社長が勝手にコミットすると現場は困る
という話です。社長のところは広報部でもCMOでも読み替えてもらってかまいません。言いたいのは会社を代表したアカウントで発言する際に、会社が設けている他のチャネルと連携・連動できているのかという話なので。
そういう準備や環境をしっかりした上でTwitter「も」取り入れるというのはすごくいいことだし、ぼくも応援したいんだけど、流行りものだからと気軽に手を出すのは愚かだし、そんなことを薦めるのも確信犯ならひどい話だと思う。じっさいにはそういうことをわかってないまま提案してるような気もするんだけど。
大きい会社で働いたことがないからわかんないのかもしれないけど、社内調整ってのはほんとにメンドクサイけど、でもやらなきゃいけないわけですよ。自分ひとりで仕事するわけじゃないし、ひとりですべてを処理できるわけでもないので。
ソーシャルメディアマーケティングはたしかに属人性が問われるし、やってる人自身も個人として見てもらってる錯覚をしてしまうのもわかるけど、でもやっぱりそれは「○○会社の中の人」としての個人でしかなくて、自分が辞めてもその企業もアカウントも残るわけだから、「ぼくにはできます」なんて理由で始めるのは危険。それでゴーサイン出すのもリスクマネジメントがまったくできてない。
さらに言えば社内調整のために他部署と対話できない人が、ソーシャルメディアで顧客と対話なんてできるわけがないのです。
そのへんが最近感じてる違和感かなあ。
すべての企業が即断即決できるわけじゃないし、大企業特有のジレンマを知らない連中が勝手な提案をしてるとしたら(実際してるんだけど)不幸の量産になりかねないなあと。ぼくはこのへんはけっこうヤバいなあと思うんですよね。
昨日紹介した「ソーシャルメディアトレーニング」の話のように、ガイドラインを作れと言うのは簡単だけど、それをどうやって社内に浸透させるかとか、運用を徹底させるかについて話されることはまずないんですよね。本当に大事で、そして難しいのはそこなのに。
何事も始めるよりも、続けるほうが大変なんですよ。だから可能な限り、続けるための障壁を取り除いてから始めたほうがいい。
たしかに顧客との対話はとっても大事だし少しでも早く始めたほうがいいと思うけど、社内の対話(同僚や上司、部下との対話)はもっと大事。
ザッポスにしたって星野リゾートにしたって、まずは社内ですよ。従業員満足度というとちょっと正確ではないのでもうちょっと別の言葉がほしいところだけど、ソーシャルメディアマーケティングだとか、顧客との対話だとかは、自分たちの中から出てくる「どうしてもやりたい!」という情熱に突き動かされるものであって、そのへんの人に言われたからやるようなものであってはならないんです。
通信端末の多様化も含めて、たしかにスピードは大事な要素だし、それが商売の成否を決めるひとつの要因になることもあるでしょう。
でも「会社として」やる以上は、やることがゴールじゃありません。だからこそ続けるためにどんな準備をするかについて徹底的に考える必要があるし、そこの支援をしてあげてほしいなと思います。
いまのままだと「ホームページ作りましょう」と変わらないので。











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