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トヨタのリスクマネージメントとソーシャルメディアの覚悟

トヨタの件。

昨日になってようやく社長の会見。これは遅すぎ。
しかもずっとチラチラと下を向いて原稿を読んでる。お詫びなんだから自分の言葉で語ればいいし、まっすぐ向いてるからこそ陳謝して頭を下げたときに気持ちが伝わる。おそらくどっかのPR会社か危機管理コンサルタントが作った文面を読み上げてるんだろうけど、これはあまりにもお粗末。

そもそもクルマが家電化していく中で、こういうトラブルや事故は避けて通れないんだから、ここはエコだのCO2削減だのと言ってる政府がもうちょっとサポートしてやればいいのになと思う。世界中から袋叩きにあってるのを傍観してちゃダメだろう。もっともトヨタはあちこちから恨みも買ってるだろうから、世間の空気としては同情ばかりでもないわけで。

おそらく今後パソコンで起きたような事件(バッテリーが原因による出火)がハイブリッドカーやEVで起きると思うんだけど、そう考えると機械なんてのはシンプルな構造のもののほうが安心な気もする(でもそれは気のせいでやっぱり最新のほうが安心だと思うよ)。

もういとつこの一連の件(日本のブレーキの話だけじゃなく、USのリコールの件も)で思ったのがソーシャルメディアの対応について。

まずはこちらを。

リコールの件について、会社として発表した以上の情報はTwitterでもFacebookでも語られていない(どちらもUSのトヨタがやってるアカウント)。

こう見てくると、まず企業・ブランドの公式Webサイトで顧客対応や危機管理はできないのが自明だ。顔の見えない者同士が建前だけで言いたいこと、聞かせたいこと、見せたいことを並べ立てるだけの公式Webサイトにおいて、わざわざ突っ込みを入れられかねない事柄、リコール情報を大仰に掲示するわけにはいかない。Web担当も法務、広報、財務など社内組織の複数から許可、承認を受けた上で公式Webページを改訂、更新するしかないわけだ。

しかし、ソーシャルメディアスペースにおいて、そんな建前は成立しない。製品・サービスを購買し、利用している既存顧客にCレベルから語れる言葉はない。製品・サービスを開発、検証、販売、保守している担当者の言葉がなければ既存顧客に届く言葉とはならない。対応を受けた顧客がそのコンテンツを他ユーザと共有するだけに、オープン、対等、双方向のメッセージでなければ意味がない。

まさにその通り。「ソーシャルメディアに参加しないのがリスク」という脅迫はある部分では正論なんだけど、そんな言葉を軽々しく口にする前に同時にこういう事態の対処を支援できるのかを自問したほうがいい。くれぐれもお詫び文を棒読みさせる危機管理コンサルタントのようなことをしちゃいけない。

もっとも答えは明白で、出せる情報をとにかく出す、最前線――それは矢面という意味ではなく、顧客ともっとも濃密な会話ができるという意味で――として顧客が求めている情報を広報部門や対策プロジェクトチームに伝え、公式発表として出していくためのエンジンにもナビにもならなければいけない。本当に覚悟すべきはそこであって、そのための社内連携を平時にきちんとしておかないといけない。一部門が暴走して始めていいようなもんじゃないんだよね。

そういうことを煽ってる人たちにはぜひ考えてもらいたい。

日本ではトヨタはとくにソーシャルメディア上で何かをやってるわけではないのだけど(ブログは過去にやってた)、それ以前の話として公式サイトでも今回の問題についてぜんぜん告知してないね。ほんとに「危機的な状況」(豊田社長)だと認識してるのかって思われちゃうよ。

toyota.jp  トヨタ自動車_20100206

グローバルサイトでは最新ニュースのところに「品質に関する記者会見 豊田社長あいさつ」というのがあるね。

トヨタ自動車株式会社 グローバルサイト_20100206

まさか週末だから更新してないってことは考えられないんだけど、こういうときに組織の本当の強さが見える。

検索したら愛媛トヨタの採用担当者ブログってのは見つかって、これが5日(時間は不明)が最後の更新なんだけど、さすがにここで説明もないか。コメント不可だしね。

トヨタの話はこのへんで。ぼくは乗らないけど、クルマの家電化は興味があります。

で、せっかくなのでソーシャルメディアについてだけ、ちょっとまとめ。

多くの企業がソーシャルメディアに参加して、顧客と直接繋がり、対話することは素晴らしいことだと思うけど(ぼくもそれを推進したいけど)、アクセルを踏むだけじゃなく、時にはブレーキを踏んであげることも必要だし、組織や体制について運転前チェックをしてあげることももっと意識してほしい。
(いちおうクルマでたとえてみた)

実際にいろんな企業が暴走気味にソーシャルメディアに参加しているわけだけど、こういう事態が起きたときにどうやって対応するか(顧客と向き合うか)についてしっかり考えられているのだろうか。
たとえばTwitterではいわゆる軟式アカウントというのが大人気だけど、いざ何かがあったときに彼らはまともな対応ができるのだろうか。

[追記]
トヨタの件は顧客の声を無視した(というよりも正確に言えば「気づけなかった」かな)ために起こったことらしい。ちょうどいま顧客の声をどうやって集めて、整理分類して、社内にフィードバックして、個々のサービスを改善していくかということを考えているところなので、他山の石としてしっかり受け止めたい。

[追記の追記]
そしてあいかわらず、こども店長のCMを流しまくってるんだよなあ。松下のように全部差し替えしろとは言わないけど、やっぱりこれだけの企業だからこそしっかりしてほしいなと思うね。

[追記20100208]
プリウスはリコールの方向みたいですね。
でもトヨタをかばうつもりはさらさらないけど、回生ブレーキってのはそういうもんなんだから運転手の理解や技術にも問題があるんじゃないのかな。ぼくもレンタカーでプリウスは数台運転したけど、とくにブレーキに違和感とかはなかったよ。
社長会見についてはフォローの余地はないけど、問題そのものは拡大されてる気がするなあ。

[追記20100305]
その後、いろいろとやってるようです(Tweetmemeのやつなんてすごいですよね)。こちらを参考に。

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