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臨床医と研究医

海の向こうにいるので昨日のEBISU GIGSには不参加だったたっくんとメールで話してたんだけど、次回か次々回のEBISU GIGS(兼花見)はあちこちの桜の写真をみんなで撮ってきて、それを店のプロジェクターに映して見ながら飲むのがいいかなって話になりました。
ていうか外は寒いし、ぼくは花粉症なので、それを切に願ってます。

で、昨夜の話でちょっと気付いたことがあったので。

あるテーブルでの会話で、広告業界で本を出されてる何人かの名前が出て「どう思います?」って聞かれたときに、

「考え方とかはそんなに違わないと思うけど、なんとなく、たぶん生き方とかそういう部分で相容れないものがある」

と答えた。これはほんと正直な気持ちで、ぼくは自分の能力や時間が限られていることをよく知っていて、もっと言うと誰かのために使う能力や時間に制限を設けることを前提に生きていて(つまり100%利他的に生きる気がハナからない)、だからぼくを必要としてくれていて、かつぼくが信じられる人だけのために自分の能力や時間を使いたい。
おそらくそれだけで使い切ってしまうと思うから、心の狭いやつと思われようが、自分の目の前のことしか考えない。それでもけっこう利他的に生きてると思うけどね。

お金や名誉に対する欲求も人並みに(たぶん人並み以上に)あるんだけど、それと同じくらい「自分の人生を主体的に生きたい」という欲求があるので、有名になることはぼくにとってのゴールでも成功でもない。
去年、本を出したのも、ずっと前から「本を出すべきだ」と言い続けてくれた編集者に恩を返したいという思いで始めたし、もちろん出す以上は1冊でもたくさん売れるように考えたけど、それは彼に恥をかかせたくなかったというのが8割以上占めている(まあ真剣に考えても出版社の事情とかで妥協しなきゃならなかったのはちょっと残念だった)。

もちろん理想はあるので、それは都度ブログで語ったり、講演したりするし、もしかすると本にまとめたりもするんだろうけど、それは全部手段に過ぎない。
だから今ぼくがお仕事してるのは、すべて先方から連絡をいただいた企業だし、わざわざ会いに来てくださった企業の方々。生意気に見られるだろうなと思いつつも、相手の本気度を測るためにずっとそうしてる。

そうそう、で、話がそれてきたけど、ぼくは自分の生き方が正しいとも思ってないし、ベストとも思ってない。ぼくにとっては理想的なだけで、誰にも強制したくないし、マネすることもオススメしない。ただこういう生き方もあるという程度に思ってもらってればいい。
一方で大きな会社に勤めたり、業界(とかいうとおおげさだけど)を煽動するような人はすごいと思う。ウソついて煽る人は否定するけど、自分が会ったり話したり関わったりしたことのない人のことまで心配できる人はそれはそれでえらいと思う。

でもそういうのって、臨床医と研究医の違いみたいなものかもしれない。臨床医は目の前のひとりを救うためにベストを尽くし、研究医は将来の100万人を救うためにベストを尽くしている。どっちがいいとか悪いとかじゃなく、どっちが優れているとか劣っているとかでもなく、どちらも必要。まあドラマとかだと、だいたい対立するんだけど。

そういうことを今朝、商店街にティッシュペーパーを買いに行きながら思った。ほら、花粉症シーズンなので買い溜めしとこうと思って。

ぼくは常に、これからも、無名な町医者であり続けたい。何百万人を救うことはできなくても、ひとりの医者として、ぼくの病院を選んでくれた、目の前の患者を救い続けたい。

[追記]
とか思ってたら、前にこんなエントリーを書いてた。

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コメント(4件)[コメントだけのRSS]

>あちこちの桜の写真をみんなで撮ってきて、それを店のプロジェクターに映して見ながら飲む

おもしろそう!ぜひ参加したいですね!

ぜひぜひ。写真も撮っといてくださいね。

そこに、惹かれるんですよ。

やや結果論ですし、
かなりそれますが、
ウチの子は、
http://www.bh-asuka.jp/
で、生まれたんですが、
ここの大野先生は、
今の産科医療への憤りや、問題提議をしているんですが、
とはいえ、目の前のお産に対し、一生懸命なんです。
ご自身の限界、無力さから逃げずに、やっている。
だから、お産を引き受ける数も制限している。

こんなスタンスやアプローチに共感するんです。

河野さんも一緒なんですよね。

他の方がダメとかじゃなくてね。

ナベケンさん、コメントありがとうございます。
とてもうれしいです。

まあナベケンさんはわかってると思うけど、勘違いしちゃう人もいるかもしれないのであえて書いておくと、ドラマで臨床医ばかりが取り上げられるのは感動させやすいからなんです。現場主義だから、いつも大変だし。
でも医学というものを支えてきたのは研究医でもあるわけで、両方の立場で医学に向き合う人がいて初めて多くの人が救われることになります。

だからぼくはたまたま自分で浪花節な臨床医を選んでるから、こうやって支持してくれてる人がラッキーにもいるんですけど、そういう立場上のメリット(というか見られ方の違い)については重々承知しています。

まあなんにせよ孤独じゃないのはうれしいことです。

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