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衰退する出版業界?

あえて「?」をつけたけど、朝日新聞にそんな記事があったと「めざましテレビ」で紹介されていた。

20080214175200.jpg   20080214175312.jpg

記事によると、市場規模が衰退しているのに、当面の売上確保のために新刊点数ばかりが増えているので先行きが暗いということらしい。まあこの出版点数も返品率も、ここ数年そんなに変わってないけどね。
また、ドイツが成功例として取り上げられていて、日独の比較が行われていた。まあ意図としては、日本もドイツみたいにやらなきゃダメってこと(ほんとかどうかはさておき)。

「めざましテレビ」が用意したフリップによれば、こういう感じ。ちなみにドイツの人口は日本の2/3くらいとのこと。

日本

ドイツ

約1兆円

市場規模

約1兆4,350億円

40%

返品率

5-10%

データ共有の遅れ
流通状況の管理は難しい
欲しい本が書店で手に入らない

 

業界統一のデータベース
刊行6ヶ月前にタイトルを登録
書店はオンライン情報を元に注文

返品自由の委託制
書店の選択眼が育たず、売れ筋は大型店に集中
返品された本は送料まで出版社負担

 

買い切りが原則
需要に応じて必要な本を送る
書店はリスクを負うので返品が少ない

21%

粗利益率

35%

6ヶ月前にタイトルが決まってる本のほうが少ないと思うんだけど(というか本が出ることすら決まってないのでは)、まあそれを本当にやってるとしたらドイツはすごいかも。日本もなくはないんだけど、有料だったり、国会図書館のはデータが荒くて、しかも遅い(発売後)という欠点があるので、発注用には使えない。在庫情報はもっといい加減なので、けっこう困る。

「欲しい本が書店で手に入らない」というのは、実際にぼくも何度も経験してるけど、まあだからこそオンライン書店が重宝されていたりもするんですよね。
どっちにしても出版点数が多すぎて、知ってたら買ってたのに、出てることを知らなかったケースがかなりあるとぼくは思っている。

委託販売にするか、買い切りかはよく議論に出ますね。で、ドイツの返品率が低いのは買い切りだから当然で、なんで10%も返品が発生しているのかのほうが気になる。条件付なのかな。粗利益率が高いのも買い切りだから、仕入れ値(卸値、正味)が安くなる結果によるもので不思議なことじゃない。
大事なのは粗利益率の高低と、儲かってるかどうかは別の話だってこと。粗利益率ってのは「売れたら」の話であって、売上が小さければ薄利多売のビジネスに負ける。そういうことに触れないのはちょっとずるい。ドイツの書店事情はよく知らないんだけど、そんなに儲かってるのかな。

ちょっと調べてみたら、少し古いけどこんな記事が見つかった。出版点数が同じくらい多いのが予想外だった。

ドイツでは年間75,000冊に近い新刊書(旧刊の再版を除く)が出版される。2004年にドイツの書籍出版社が制作した本は9億6300万冊であり、同年に1,823の出版社と4,349店の書店が達成した、ドイツの書籍市場の総売上額は9兆760億ユーロにのぼる。ドイツは、一書店あたりの人口が約18,000人と、最高の書店密度をもつ国のひとつである。

via.ドイツにおける書籍市場と書籍

この記事を読んだ限りでは、圧倒的に書店の数が少ないんだよね。人口が2/3なのに、書店の数は1/4だからね。日本の書店数はどんどん減っていて、今は17,000店くらい。

20080214180838.jpg

そういう背景なので、ドイツを見習うというのは、書店の数を今の半分くらいにするってことなので、あんまり参考にならないと思う。それと話が脱線するけど、オンライン書店に関していうとドイツ系の某社は撤退したのをぼくは知ってる。

あと買い切りだと書店員の選択眼(目利き)が育つとか書いてあるけど、大規模書店なら文芸とかコミックとかジャンルごとに担当をおいてるけど、街の書店のオヤジさんがそんなことできるわけがない。

それにね、この書店員の選択眼というのもけっこうクセモノで、本屋大賞の受賞作がほんとにベストかっていうとそんなこともないし、好き過ぎる人の選択はいつだってピンボケなんだよ。自分が好きな本を選ぶんじゃなくて、自分のお店のお客さんが喜びそうな本を選べる人は本当に少ない。それは本のことを知るのと同じくらい(かそれ以上に)お客さんのことを知らなきゃいけないから。
立派な書店員はいっぱいいるかもしれないけど、自分のお抱え書店員にしたくなるような人ってめったにいないしね。あんまり言うと書店員の人に怒られそうだけど。

あー、長くなってきた。なんだかんだで言いたいことがいっぱいあるんだろうな。あと少しだけ。

この「出版業界」というくくりも微妙で、そもそも出版社の話なのか、書店の話なのかで変わってくる。どっちも大手が潰れにくいのは共通してるけど。

ぼく自身はマンガも含めれば、年間10万円以上は本を買ってるし(立場上、いちおう言っとくけど新刊で!)、書店にも週に一回くらいは行く。
最近気になるのは出版点数が多いことよりも、しょーもないタレント本がどんどこ出版されることのほうがイヤだ。売れるからいいって気持ちはわかるけど、そんなのが続くわけないんだから。出版社に関しては、隣りばっかり見てて彷徨ってる感じがする。
書店は首根っこ押さえられてるから何にもできなかったりするんだよなあ。

[追記20080214]
ドイツの市場規模が「約1兆4,350円」になってましたが、正しくは「約1兆4,350円」です。ポールくん、指摘どうもありがとう。

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コメント(18件)[コメントだけのRSS]

ドイツの市場規模が約1兆4,350「円」となっていますが億円でしょうか。

元書店員でしたが、本当に良い本を進められればいいのですが、ジャンルが多く、
新刊が多かったりすると把握しきれなかったですw
でも、開店前の準備時に、よく平台チェックとかしてました。

>ポールくん
おっとっと「億円」ですね。修正しておきます。

>setukaさん
そもそもひとりでどうにかできる量じゃないし、仮にコミックに限定しても月間500冊とか出るのでとても全部は把握できないですよ。
そういう意味ではユーザー(お客さん)のほうが詳しかったりするので、そのチカラを借りればいいのにって思うのですが、実際には本屋大賞しかり、自分たちのほうが詳しいんだというエゴが消えないですね。
まあそのエゴ(というかプライド)がないと書店員としてやっていけないのかもしれませんけど。

あまり関係ないんですが、創刊から約半年の女性誌 Dear が休刊するそうです。エスクワイア系で、創刊時には結構話題になったので休刊とは驚きです。雑誌業界も大変ですね…。

ユーザー同士のコミュニケーションもとれるといいな。
私は欲しい本がある時は、レビュー見てから買いに行くから、リアルでも同じことができると面白い。
ふらっと立ち寄った書店で誰かの書いたレビューを見て買ってみる。帯の書評より信頼できるかも。

>chansukeさん
ほんとに関係ないですねw
笑っちゃいました。

>setukaさん
そうですね、ユーザー同士の交流ができるといいですね。それをやるとなると「場」のプロデュース能力が問われるので、今の書店員には無理でしょうね。客を信じないと。

なるほど、と「他人の・・・」からさかのぼってやってきました。
冒頭の記事の内容っていったいいつの話だってくらい今更の内容ですね。正直 20 年あまり前からその状況は変わっていない。
しょうもないタレント本の大量出版というのも同感。地球環境うんぬんをいうならば、無駄に出版して古紙にすることの無意味を考えるべきではないかと。作るなというのではなく節度を持って(笑)。

ムムリクさん、コメントありがとうございます。
ほんとに20年くらい前から変わってない気がしますね。
本屋でぶらぶらしないと見つからない本があるといっても、それは大規模書店の生き残り策でしかなくて、街の書店がどうやって生き残るのかはけっこう難問ですね。

店員の独断でオススメとか書いてあるとこが好き。
なんかないかなぁ~って探してる時に、全く違う視点から本を探せるのもいいなってね。
ただ、売上順位とか、卸からの意向とかで決めてるようなのは、却下

たかさん、コメントありがとうございます。
そうですね、趣味があう店員さんがいると本屋に行くのが楽しくなりますよね。
「なんかないかなー」ってぶらりと本屋に行く人が減ってるのが気になりますね。

技術本を紙媒体の本は買いたいのですが、捨てられない本が大量に溜まってきて、
かさばるので買うに買えない状況になっています。

紙媒体本と電子本との利点・欠点
・紙媒体本
 見やすい
 次のページが直ぐに見れる、見たいページに直ぐに飛べる
 大量に溜まるとかさばる、必要な情報は手動で見つける必要がある
・電子本
 見難い(紙媒体と比べて見てると疲れる)
 次のページに飛ぶまで少し時間がかかる
 大量に溜まってもかさばらない。必要な情報はデータベース化すれば欲しい情報は検索できる

現状の状況
本(紙媒体)買った→全部見た→必要な時使いたい→ほっとくとかさばるので電子化したい

理想としては 紙媒体+DRMフリーな電子媒体が付いてくるといいのですが
(DRMフリー要望なのは後で必要になったら色々なPCで見る上、時間がなければ電車内でPC以外の機械でも見たいですし)
よくわからない法律でかんじからめなので、期待薄ですが。

現状殆どこういうのが出てこない上、無料で見れるwebサイトがあるから人が流れちゃいますね

とりあえずさん、コメントありがとうございます。
技術書って数年後に読み返しませんよね?
情報が古くなってるし、バージョンも変わってるでしょうから。保存価値は紙でも電子でも変わらなく低いと思いますけどどうですか?

もっと子会社(返品やカバーなどを扱っている会社)に目を向けてほしいです。
そうすれば、原因もわかるはず。
なぜ、出版社は黒字でいられるのか不思議です。

shigen さん、コメントありがとうございます。
原因というのは衰退する原因のことですか?
もしそうなら教えてほしいです。
出版社が黒字でいられるのは出版点数や人件費などの構造からわかるのですが、指摘されている子会社についてはよくわからないので、教えてください。

子会社というのは、本の管理・改装(おもに返品された本)を行う所です。くわしくはないのですが、おそらく下請けのことだと思います。
大手のホームページなどを見るとわかるのですが、例えば、
Aという名の出版社があるとすると、関連会社に
Aセンター(ロジスティクス等)などがあります。
そのAセンター内にある会社のことです。

shigenさん、ありがとうございます。
そういうセンター内にある会社に目を向ければ衰退の原因がわかるということなのでしょうか?
(すみません、まだわかってないです)
返品率や断裁されている書籍数などの問題は理解しているつもりなのですが、何が問題だと指摘されているのでしょうか?

河野さん、ありがとうございます。
センター内にある会社でいいと思います。
それらの会社は、仕事をもらっているとか、土地を借りているとかで、頭が上がらない状態なのです。それをいいことに、上から、土地を返せ、とか空きスペースを活用しろ、などと言ってっきて、下請けは、縮小しつつあるのです。もちろんこの間にも、出版物は増えています。
それ故に、親会社の食い物にされているのでは?と思っているのですが・・・。
おそらく、下請けの会社からつぶれていくのではないでしょうか。

shigenさん、ありがとうございます。
なるほど、そういう事情は知りませんでした。思うに新聞業界の販売店と同じで、つぶさない程度にギリギリのところで助けると思うんですけどどうなんでしょうね。もちろんそれは幸せな関係ではないので、どうかしたほうがいいと思います。

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